巻頭言(Vol.31 No.9)2009.9.01
歴史は繰り返すというが、現在の自民党と民主党のマニフェストによるバラマキ戦争を「昭和初期の保守二大政党のバラマキ戦争のようだ」と言う人がいる。
この二大政党の政権欲が国民の信頼を失い軍部の台頭に繋がり、結果としてあの未曾有の戦争があった。
四年前、否小泉の登場からマスコミを含めて国民総白痴の感を強くしたが、今回も目に見えぬ「風」探しに国民総白痴状態になっていまいか。北朝鮮の核の脅威を利用して、首相その他に日本も核武装を辞せずと言わしめている醒めた人々の存在を隠すように。
阿部先生は短歌を詠む心構えの一つとして「目に見えぬものを見よ」と仰しゃった。
路傍の小さな花を美しいと思う。その美しさの本質はどこにあるのか。付近の様子、花の枝葉、空の色、風の色まで含めた美の中心に存在する花の美こそ、存在を越えた存在の美。私達歌人は無意識の内にそんな物の見方を身に付けて来た。
そしてそこから物事の本質を見、言葉を紡いで来た。短歌を始めてから物の見方が変わったとよく聞くのはこの事を自覚する言葉である。
私達は今本当に重大な岐路に立っている。信頼出来ぬ政治家に票を投じねばならぬ虚無を抱きつつ、それでもマスコミやある思惟的集団に惑わされる事なく自分の信念を完遂する事は容易ではない。
だからこそ歌人として培ったこの真実を、本質を見極める目を大切に今起きている物事を把握し行動しなければならない。その事が必ずや成熟した政治体制と国民本意の互助精神に満ちた国家を生むと私は信じている。
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